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2012年1月14日 (土)

プリントは料理

音楽家から写真家に転向したアンセル・アダムスは、「ネガは楽譜、プリントは演奏」と言ったそうだが、私は、「ネガは食材、プリントは料理」だとも感じている。

食材には賞味期限があり、料理はつくった先から劣化が始めるという点において、写真とは大きく異なるのだが、食材を吟味し、それを活かすように手際よく調理するというプロセスは、ネガを吟味し、それを活かすようちゃちゃっとプリントをするのによく似ている。

私はコンタクトシート(ベタ焼き)をほとんどつくらない。ネガをじっと眺めていると、キザな言い方を許してもらえるのなら、ネガのほうからこうプリントしてほしいと語りかけてくる。コンタクトシートに頼りすぎると、ネガの語る言葉を聞き逃しやすい。

長年料理をしていると素材のよしあしが手に取っただけで分かるようになるように、ネガも、コンタクトシートなしによしあしを読み取る訓練をすれば、それなりに分かるようになる。

デジタルは解像度において情報量が豊富だが、ネガは、ラチチュードという情報量において、デジタルを圧倒する。それを生かすも殺すも、料理人の腕次第。

ちなみに私は、料理は毎日しているし好きではあるが、決して上手とは言えない。料理上手なら人生がもっと豊かになるだろうにとよく思うのだが。

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