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2012年2月21日 (火)

好きな道具

私は自分のワークショップ参加者に「迷ったときは楽しいほうを選べ」と言っている。それは、たとえばその日撮影する機材を選ぶとき、どっちにしようか迷ったら、楽しいと感じるほうを持ち出せ、ということである。

なぜなら、楽しいと感じる道具だと、それを使うという行為自体が楽しいから、それに没頭できる可能性が高くなるからだ。没頭する時間が長くなれば、自ずと結果がついてくる率も高まる。もし仮に結果が出なかったとしても、充実感は残る。

参加者のなかには職業で写真を撮っている人もいることはいるが、ほとんどの人にとっては趣味か表現活動である。苦痛になっては続かない。

以前どこかで、イチロー選手が小学生に、どうやったら野球が上手になるか訊かれたとき、道具を大切にしなさいと答えたという話を読んだことがある。

道具を大切にし、愛着を持つようになると、人によっては、その道具を使うということについての「パーソナルな意味」が出てくる。使えば使うほど、思い入れが深まり、もっと使ってみたいと思うようになる。こういう風に使ったらもっと上手になるかもしれないというアイディアも出てくる。

この「もっと使ってみたい」という氣持ちが、物事の上達には大切だと思う。なぜなら、プロセスが楽しいと自然に「量」が増え、その結果「質」もついてくるからだ。

私は、本人が望まない限り、初心者に「初心者向け」と呼ばれる道具を勧めない。

それは、かつて私が写真を本格的にやるようになる前、人から勧められた機材を借りて使ったとき、写真を撮るという行為に飽きてしまったことがあるからだ。できれば、その人が「いずれは○○を」と思っている○○そのものを、最初から使ってみることを勧める。

カメラだろうと、楽器だろうと、スポーツの道具だろうと、初心者向けもプロ向けも原理や仕組みは同じ。好きでもない道具に金銭や時間をかけるのはもったいない。はじめから使いたい道具を使って、それを楽しんで使うのがいいと思う。

R1114063

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