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2015年1月

2015年1月26日 (月)

ひっかかり

ここ数ヶ月、写真というものを「ひっかかり」というキーワードで再定義している。

私が担当する写真ゼミの受講生のなかに、美しい写真を撮るのだけれど、画面で見たときのインパクトがプリントにするとないというか、「心に残りにくい」プリントになる人が何人かいた。私はどうしたらそれを解決できるか考えた。

精神論を大切にする先生ならそこで「もっとプリントに心を込めろ」などと言うのであろうが、それはやりたくなかった。なぜなら、私は直感的にそれが、心の問題ではなく、ハードウェアの問題だと感じていたからだ。

これまでの経験の中で、デジタルプリントは立体感を付けにくいことを知っていた。フィルムで撮って印画紙にプリントする技法の優れた点の一つは、奥行き感や立体感を(比較的)つけやすい点にある。

そこで、デジタルプリントにおいては、フォトショップ上のある一つの機能を使って、立体感をつけることを試みた。予想通り、プリントはわずかだが確かなものへと変わった。

さらに、授業の中で一人の受講生が、一番見せたい箇所だけに部分的に立体感をつけることを試みた。

すると、急にプリントが「心に残る」ものになった。それはつまり、一番見せたい部分に「ひっかかり」をつくることだったのだ。

考えてみると、写真を撮るときも同じなのかもしれない。

我々がたとえば街を歩きながら写真を撮りたくなるときは、目や心に何かが「ひっかかった」ときだとも言えるのではないだろうか。

目や心にひっかかったものを、見る人の目や心にもひっかかるように工夫して撮影し、プリントする。

このシンプルな、当たり前のような写真の法則に氣づくのに、ずいぶん時間がかかってしまった。ヒントをくれたゼミ生にも感謝である。

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