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2016年1月

2016年1月31日 (日)

制作の時期は〜写真展をつくる(10)

詳しくは後日お知らせしますが、個展は以下の予定です。

2016年6月3日(金)〜25(土)
ギャラリー冬青

引き続き制作過程をこのブログで実況中継して行きます。
http://robert.cocolog-nifty.com/focus/cat23944788/index.html

さて、先日ギャラリーの担当の方から今後の具体的なスケジュールをいただきました。わくわくしますね。

これからは方向をブラさないよう注意しながら追い込みです。

私の場合、制作期間中は写真展などにはあまり行かないことにしてます。刺激を受ける時期ではありませんから。

影響を受けにくい人ならともかく、面白い写真展に行けば必ず何か持って帰る人なので、制作時期の前と後で作風が変わったり(まあそれもありかもしれませんが)、あと、この期に及んで人の作品に打ちのめされたりしたら困ります。迷いのもとには近づかないことです。

日々すごい数の写真展に行っている写真家を何人か知っていますが、自分にはできないので、すごいなと思います。

とか言って、その辺のギャラリーでお会いしたら笑ってやってください。

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2016年1月26日 (火)

創造性が望むこと

私がワークショップやゼミでいつも意識していることがあります。それは、

「その人の創造性が何を望んでいるかをよく見る」

ということです。

どういうことかというと、その人のなかには創造性のエネルギーのようなものがあって、それが何かをしたいと欲しています。広がりたい、深まりたい、動きたい、活躍したいと。それを私がよく感じ取るということです。見えるような、感じるような、ほんとんど私の特殊技能なのかもしれませんが、そんなことです。

ほんとうに別々の好みと方向性のある創造エネルギーを一人ひとり持っています。バラバラです。それが行きたい方向に行かせてあげること、活かされる方向に行かせてあげることが、その人にとって幸福なことだと思っています。

同じ創造的な人間として、そのお手伝いすることが、そういった場での、私の役目です。

たとえば以前暗室講座をやっていたときは、受講生から「ここはもっと黒くしたほうがいいでしょうか?」と聞かれれば、たいがい「あなたの好みと意図次第」と答えてました。

それは、責任放棄とかいじわるではなく、創作であるからには、自分が何を望んでいるかを本人が知って、それをかたちにすることが大切だと思うからです。

光の時」という写真講座では、毎回違うキーワードをもとに、世界を「愛でる」ということを行います。

その「愛でる」行為の延長としてキーワードにもとづく課題が出され、翌回にその講評を行います。

キーワードは抽象的なので、それを真剣に考え、かたちにする過程で、美にたいする考えが深まります(正解はありません)。世界の見方/見え方が変わることもあるでしょう。

課題をどう解釈したか、それをもとに世界をどう見たか、それをどうかたちにしたかが、写真に見え隠れするので、私はその人の個性が望んでいること、創造性が行きたがっている方向を写真から感じ取ります。その人がコミットして課題に取り組んでいれば、かなりはっきり見えてきます。

創造性ワークショップ」は、文字通り創造性が望んでいることを具体的に引き出し、実践することが中心課題です。

作品をつくる場ではありませんので、そこが写真講座等とは違いますが、このワークでは深いところで自分自身が何を望んでいるかが人によってはかなり明確になります。

写真等から講師が読み取るのとは違い、本人が自分で探り当てるので、自覚的に取り組めば非常に大きな収穫になります。人から言われたことやぼんやり感じていることより、自分で具体的に実感したほうがよりリアルです。

このように、いろんな方の創造性のエネルギーと接してきました。見れば見るほど、ワークをやればやるほど、どんな分野でも、クリエイティヴであるということは、やりたいかやりたくないか、そのやりたいことを実際にやるかやらないか、ということに尽きるなと思います。

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2016年1月23日 (土)

住するところなきを、まず花と知るべし

「初心忘るべからず」という言葉を誰もが聞いたことがあるでしょう。父・観阿弥がつくった能を完成させたと言われる世阿弥が言った言葉です。

世阿弥は幼少期に今風の言葉でいえば「アイドル」で「ちやほや」されたのですが、人生のある時期、時の権力者に「disられた」人物です。

能という「ミュージカル」あるいは「オペラ」は、世阿弥がアイドルに甘んじることなく緻密につくりあげて、完成しました。台詞、歌、音楽、踊りが高レベルで一体となった能は、世界中見渡してもおそらく他に例がありません。

たとえば能のなかの音楽ひとつ取っても、誰も楽譜を見ていないので、即興的要素が強いと思われがちですが、実はほぼすべてが計算され、決められています。

そこには、世阿弥の非常に「現実的な」思考の影響が、多かれ少なかれあるのかもしれません。

世阿弥の言葉として残されている「風姿花伝」は、もともとは門外不出の書物で、一般の人は見るはずのないものだったのですが、それが世に出て、世阿弥の言葉が我々にも届くようになりました。

それらは元アイドルの浮ついた言葉ではなく、現代にも通じる「地に足のついた」言葉です(能楽師がかかとをつけて摺り足で歩くのは偶然ではないのかもしれませんね)。そのごくごく一部をご紹介します。


「稽古は強かれ、情識はなかれ」

稽古はしっかりやりなさい。ただし、それに慢心してはならない、という意味です。

努力してつかみ取ったものは自分のものになるのですが、人はその上にあぐらをかいたり、へんなプライドを持ったりしやすいのではないでしょうか。世阿弥はそのことに注意を促しています。


「住するところなきを、まず花と知るべし」

常に変化しつづけることが、最も輝く方法だという意味です。

世阿弥のいう「花」とは、「芸の中心」「その人の輝き」などを指す抽象度の高い言葉ですが、芸事に限らず、ビジネスでも人間関係でも、花は欠かせません。

いくつになってもどのようなステージにおいても、一カ所に安住することなく、変化し続け、その場そのときにしかない花を持ちたいものです。

アイドルからスタートし、人生の局面局面で最も輝く方法を探っていった世阿弥ならでは言葉だと思います。

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2016年1月19日 (火)

2/6「ねむりのコンサート」

最近、よくねむってますか?
親子で楽しんで、ためになる
音楽、レクチャー、絵本読み聞かせ

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お母さんが妹のアンジェラを連れて隣町のおばあさんの世話に行っているので、今夜は代わりにお父さんがジェイコブに昔話をしてくれています。ぜんぜん眠くならないけど、お父さんを拘束したくなかったので、ジェイコブは目を閉じて寝息を立ててるふりをしました。お父さんはそーっと部屋を出ていきました。


大人と子どもの「ねむりのコンサート」
池上本門寺 朗峰会館
2016/2/6(土)
開場18:00 開演18:30

== - == -- == = - === - -

★食事&ワンドリンク付チケット
¥6,500
小学生以下 ¥2,000
★ワンドリンク付チケット
¥3,500
小学生以下 ¥1,000
※ 要予約

出演
安達ロベルト(ピアノ)
安達直美(お話、朗読)
宮澤 等(チェロ)

池上本門寺 朗峰会館
無料駐車スペース多数あり
東京都大田区池上1-1-1

ご予約お問い合わせは
朗峰(ろうほう)会館 03-3752-3101
または contact[at]robertadachi.com
([at]を半角英字@に書き換えてお送りください)

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大人にも子どもにも大切な「ねむり」。

でも、どうしたら質の高い睡眠を得られるか、どういうねむりが望ましいのかは、案外知らないものです。

そこでこの「ねむりのコンサート」では、美味しい料理を食べながら、ねむりについてのお話を聞き、ねむりの絵本読み聞かせを楽しみます。

臨場感あるピアノとチェロの生演奏が、お子さまの情緒を育みます。
お子さま連れ大歓迎。

もちろん大人の方だけでも楽しんでいただける内容です。
ぜひいらしてください。

◆ 安達ロベルトによる描き下ろし絵本&書き下ろし音楽については、本番までの間、Facebookで少しずつご紹介していきます。

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☆安達ロベルト
アナログ白黒写真、クラシック作曲、鉛筆画・水彩画という伝統的な技法をベースに、コンテンポラリーかつミニマル、リリカルな語法で「映像、音像、物語」が共生する表現を行う。活動領域は、国内外での写真展や演奏活動から、ミュージカルコメディの脚本作曲演出、絵本、書籍の挿絵、メーカーのオフィシャルイメージ、コンテンポラリーダンスのための音楽、テレビCMにまで及ぶ。

☆安達直美
国内大手航空会社において国際線客室乗務員として勤務後、寝装品メーカーの研究所で主任研究員として睡眠に関わる研究に従事。株式会社エスアンドエーアソシエーツ取締役常務執行役員。睡眠文化戦略コーディネーターを経て、現在職に。リラクセーションおよび眠りに関するコーディネーターとしてエビデンスをもとにユーザー・オリエンテッド・マーケティングに携わる。著書『美人をつくる「眠り」のレッスン』

☆宮澤 等
長野県須坂市出身。 1985年、国立音楽大学卒業。
チェロを小野崎純氏、室内楽を小林道夫氏、ヘルムート・バルト氏に師事。G.クルタークに師事。
1992年オランダ、オルランド・フェスティバル(室内楽)マスターコース合格、オランダ各都市で演奏。
1985年、第18回レンク国際音楽祭(スイス)においてファイナル・コンサート出演など、室内楽奏者として活躍。 ソロ、室内楽を中心に活動するほか、様々なオーケストラの指導等を数多く行う。リサイタル活動も、2002年、王子ホール(銀座)を始め数多く行っている。
2002年より ルーマニア国立ブラショフ・フィルからの招聘で演奏。2003年には同国、国立クライヨーバ芸術大学にてマスター・コースを開催する。
2007年1月、ニューヨーク、カーネギーホールで行われたコンサートは、音楽書評誌 ニューヨーク・レヴューにて ” excellent playing ” と最高の評価をされる。
現在、国立音楽大学嘱託演奏員および同附属音楽高等学校講師。信州大学教育学部音楽科非常勤講師。

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2016年1月17日 (日)

循環〜写真展をつくる(9)

初めはどこか海外に追加取材に行こうと思ってたのですが、東京が面白すぎて、けっきょくは東京近辺ばかり撮っています。

撮影しながらよく考えていることがいくつかあります。

1つは、土地そのものの力が人々とその文化に与える影響。たとえば南北アメリカに渡ったヨーロッパの人や文化は、どこか土地の影響を受けています。どこまでが土壌の影響で、どこまでが先住民の文化やそれ以外の影響なのかはもちろんわかりませんが、たとえばメキシコ、アルゼンチンは、スペインとは別の文化を有する国になりました。

もう1つは、人々の無意識(潜在意識)が、目に見えるもの(都市、建築など)にどのように現れ、それらをかたちづくっているか、ということ。たとえばヨーロッパの都市には、明文化されていない人々の美意識や、無意識に大切にしている価値が反映されています。

そして、土、水、氣候といった、人が住み文明をつくるのに必要な要素があります。これらと人々がどのように共生し、利用しているかということ。

これらの意味で、東京は非常におもしろい都市です。

近代化され空襲で焼かれてもなお江戸からつづく価値観があるのはもちろん、もしかすると弥生、縄文までさかのぼったころからの影響が、現代に見え隠れするようにも見えるのです。

そんな東京での新作を加えて、私が今回写真でやろうとしているのは、意識と無意識の「循環」のようなことです。

目にみえる風景は人々の無意識(潜在意識にあるもの)の現れ。写真でそれをすくい取って意識化します。すると写真のなかで象徴化された風景には、別の意味が与えられます。そうして風景は、もう一度見る人の潜在意識のなかに、意味やかたちを変えて、戻っていくのです。

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2016年1月12日 (火)

想像力の旅 〜写真展をつくる(8)

今回は6月に予定している個展の中身について。

昨年、尊敬する写真家Kさんのご紹介で作品を見ていただけることになり(感謝!)、ギャラリーにポートフォリオを持っていきました。

以前コスモスインターナショナルでサンディエゴ写真美術館館長のデボラさんがポートフォリオレビューの心構えとしてレクチャーされた通り、10点程度の最も見せたい組作品と、もうちょっと見てみたいと言われたときのための10点程度を持参しました。

最も見せたかったのは、「カメラマガジン」でも一部作品を発表した、もう個展ができるくらいにつくりためていた「Beauty of Repetition」というタイトルの組写真。

ところが、オーナーは、参考のためにと持っていった過去の作品のほうに興味を持たれたのでした。しかもそのなかでも、無限遠で撮ったランドスケープたちを指差し、

「このような作風のもの、もっとありますか?」
「はい。」
「これでいきましょう。」

一人(セルフプロデュース)でやっているときにはない展開です。

新作が否定された感じはまったくなく、むしろ自分では考えつかなかった切り口に、ワクワクしました。

ギャラリーからの帰り道、さっそく構想を練り始めました。撮りためていたランドスケープを中心にしようと思いましたが、単に「撮りためた風景をご覧ください」みたいにはしたくありません。その後時間をかけて、もう少しオリジナルなコンセプトの筋を通そうと、テーマを深めるべく、考えてつづけていきました。

そんなあるとき、ふと意識に昇ってきた言葉が、Earth, Water and Civilization。土、水、文明です。

すると、どうでしょう。想像力がいきいきと「旅」を始めました。そうなるともう少しつっこんでやりたくなります。時間は足りるのか、まとまるのか、不安は出てきますが、Point of No Return。

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2016年1月 7日 (木)

アナログの身体感覚〜写真展をつくる(7)

フィルムが、量販店でも1本千円するようになりました。

これを、高すぎ、いや適正価格に戻っただけなど、どう考えるかは価値観によると思いますが、これからフィルム写真をやってみようという人への影響以上に、初めて使ってみておもしろかったけどこれからどうしようかなという人の続けようとするモチベーションをそこなう価格帯に入ってきたなというのが個人的な印象です。

それでも私がフィルムを使っている理由は、だいたい3つくらいです。

第1は、プリント。フィルムからつくったアナログプリントが好きなので使っています。

ただし、アナログのほうがインクジェットより優れているからなどとはもう思っていません。デジタルプリントもすばらしいです。

ひとえに、私個人が、印画紙でできていることをインクジェットでできていない、それだけのことです。どちらが上とかいうことではなく、個人的な経験値の違いです。

たとえば銅版画を永年やっている画家が、油彩のほうが「優れてる」とか、フォトショップのほうが「新しい」とかいう理由でそれらに転向しようとはおそらくあまり思わないでしょう。それと同じです。

ちょっと前まで生涯フィルムでいくと言っていたあの写真家もこの写真家も、今ではデジタルを使っています。ノスタルジックな美学やプライドでフィルムを使えるほどの余裕は少なくとも私にはありません。

写真はメーカー主導の側面があるせいでしょうか、ユーザー(あえてユーザーという言葉を使います)側も知らず知らずに、「まだ」フィルムを使っているのか、デジタルに早々に切り替えたやつは勝ち組みたいな議論にときどきなるのですが、前に書いたように、銀画か顔料画かという画の「マテリアル」と考えれば、どっちでも自分に合ったほうを使えばいいと思っています(ウェブや印刷原稿としての写真は別の話)。

もう1つの理由は、以前ここに書きました。それを身体の感覚で言い換えると(こういう表現を読者の皆さんと共有できるかどうか自信がありませんが)、フィルムで撮っているときの感覚は、「腹に力が入る」ような感じなのです。好きとか嫌いとかいうより、私にとってのものづくりとは、そういうものなのです。

話は逸れますが、以前後輩の女性が結婚の報告メールをしてきて、そのなかで、結婚を決めて「腹にぐっと力が入る思いです」というようなことを書いていたのを印象深く覚えています。それはおそらく、彼女の結婚観と結婚にたいする覚悟を表現したのだろうと思うのですが、私も大いに共感したものです。

話を戻すと、フィルムを使っているときも(私の場合に限りますが)腹に力が入ります。フィルムを買うときからしてそうです。

デジタルで撮っているときは、上半身が共鳴する感じです。スマートフォンでもたくさん写真を撮りますが、そのときは上頭部あたりが共鳴しているかもしれません。なぜそうなるのかは、正直よくわかりません。金銭的・物質的覚悟だけじゃない「何か」がそうさせているんだと思っています。

第3の理由は暗室です。これについては機会をあらためて。

と、アナログを選んでいる理由を書きましたが、アナログだろうとデジタルだろうと、伝統技法だろうと最新技術だろうと、作品そのものが「フレッシュ」でなければいけないことに変わりはありません。

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