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2016年4月20日 (水)

プリントの意図と天ぷら〜写真展をつくる(16)

前回に引き続き、制作の意図について。今回は、プリントのときに意図したこと、つまり「物質的インテンション」のお話をします。

白黒写真はよく、カラーから色情報を抜いただけのものに思われます。スマートフォンで撮った写真をアプリでいじって白黒にするときなんかに限って言えば、だいたいそんなもんです。

でも、先日お話ししたように、それがプリントという「物質」になると、ちょっと違います。同じ「黒」でも、プラチナの黒、銀の黒、顔料の黒は違います。それはちょうど、絵画で、油彩の黒、水彩の黒、墨の黒、鉛筆の黒が違うのと似ています。

私が個展で選択しているのは「ゼラチンシルバー」ですから、銀の黒です。今回プリントをつくるとき意図したのは、その黒が存在感を持つこと、そしてそれによって印画紙が、「物質として」存在意義を持つようにする、ということでした。

いまアナログ写真をやる意義の1つは、ここにあると思っています。デジタルにはない「物質性」と、顔料インクにはない風合いです。

なので、現像液などの薬品も、それに相応しいものを選んで使いました。印画紙も大切ですが、現像液も大切です。

また、存在感がほしいからといって、必ずしも「重く」すればいいとは限りません。人間でも、重々しい人だけに存在感があるわけではありません。軽やかに振る舞う人にだって存在感があります。

結果的には、ここでお話したように「黒い」プリントが多くなったのですが、今回は黒い中にも一種の「軽さ」も含ませることができたように自分では思っています。同じネガの、むかしのプリントと較べてみるとそれがよくわかります。

よく友人と、暗室のプリントは天ぷらみたいなもんだと話します。素材、衣、油、温度、揚げる秒数で味が決まります。暗室ワークと似てますね。しかも不思議なことに、同じ材料で同じように揚げても、揚げる人によって味が微妙に違います。これも現像と一緒。

そんなこと書いていたら天ぷらが食べたくなってきました。

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☆安達ロベルト写真展「断片化の前に Before Fragmenting」冬青ギャラリー6/3〜25

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