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2016年5月 7日 (土)

見えるモチーフと見えないモチーフ〜写真展をつくる(17)

今回は3つめの意図、作品のコンセプト(知的インテンション)についてお話します。

写真展「断片化の前に」(写真展情報はこちら)は、ジャンルで言えば「ランドスケープ」に属する組写真で、モチーフは「文明」です。文明の発展には「土」と「水」が必要ですから、それらの要素も多く含まれています。

選んだのは、歴史的、考古学的、人類学的、社会的、いずれかの意味のある土地。東京が中心です。今あるものをそのまま写してはいますが、その画から、過去にそこにあったものや、遠い過去から現代までの変遷を想像できるかもしれません。

たとえば、新宿の俯瞰図。そこには縄文時代にコミュニティがありました。でも、写真にその痕跡はまったく見えないでしょう。当時ここでどのような暮らしをしていたのでしょう。

徳川家康は江戸から富士山が見えることを重要視したそうです。江戸の人々は富士をどのように見ていたのでしょう。また縄文時代までさかのぼると地形がかなり異なっていましたから、当時の富士山はどうだったのでしょう。

写真に見えるのは現代の新宿、現代の富士ですが、そこからこのようにイマジネーションを膨らませることができます。目にみえるモチーフと目に見えない(けれど頭のなかで見えるかもしれない)モチーフ、両方を写しています。

ただし、そのような見方を強要するわけではありません。前回前々回にお話したように、シンプルに、ランドスケープのゼラチンシルバープリントとしても楽しんでいただけると思います。

ところで、ステートメントに引用しているのは、人類学者・マリリン・ストラザーンの言葉。著書「部分的つながり」のなかの「人類学を書く」という章にある1文です。

焦点を広く当てるか狭く当てるか、離れて見るか近くで見るかで、対象が一緒でも、導き出されるものが変わります。それは写真と共通していて、今回の私の作品につながります。

また、記録や比較のために発展し、撮り手の「私」と被写体の「彼ら」との関係を模索している写真は、人類学の発展との共通項が多いとも思います。

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☆安達ロベルト写真展「断片化の前に Before Fragmenting」冬青ギャラリー6/3〜25

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