フォーマット

2012年1月 9日 (月)

フォーマット

皆がデジタルカメラを使うようになり、日本では携帯電話も合わせたら1人に1台以上カメラが行き渡ったと思われる今日だが、我々写真をやる者の不幸は、フィルムの衰退以上に、フォーマットの選択肢の少なさにあるのではないかと感じ始めている。

数年前、まだフィルムカメラがデジタルカメラよりも多かった頃、フォーマットは多彩だった。8x10、4x5、中判、35、APS等々。それらの大半はいまもあることはあるし、中判のデジタルカメラもないわけではないが、カメラ市場は35サイズ以下のセンサーを積んだデジタルカメラで実質的に独占されている。

ところで、写真のフレーミングを学ぶとき、縦位置の場合、横位置の場合、正方形の場合、あるいは広角の場合、望遠の場合といったタイプ別で学ぶのが一般的かと思う。

また、画角が同じ(たとえば50mm相当レンズ)なら、センサーやフィルムの大小に関わらず同じように撮るというのが従来の手法だ。

ところが、私がこれまで様々なセンサーサイズのデジタルカメラを使ってみて、あるとき「画になるはずの写真が画にならない」という場面に集中的に出くわした時期があった。

当初それは画素数による解像度の違いが原因なのかと思ったが、状況を分析してみると、どうやら画素数に関係なく、センサーが小さいデジタルカメラで撮ったとき、その傾向が強いことが分かった。

振り返ってみればフィルムでも同様で、大きいフィルムで成立する写真が、小さいフィルムでは成立しづらいことが多々ある。その逆に、小さいセンサーで面白い写真が撮れる場面が、大きいセンサーでは撮りづらいというケースもないわけではない。

そこで私が考えた仮説は、「フォーマット(フィルムやセンサー)の大きさに応じて撮り方を変えなくてはならないのではないか」というものだ。縦横正方形や画角による使い分けは、その後の話。

この仮説をふまえて、たとえばFlickrで、中判と35判の両方で撮っている人の作品を見ると、同じ作者なのにフォーマットによって写真から受ける印象が違うことが、かなりの割合で説明できる。

私が行っている写真ワークショップでは、「フォーマット(の大小)によって撮るときの意識を変える」というところからスタートしている。

しかし、参加者の作品を見ると「この人は大判向きかも」「中判を使ってみたらもっと個性が伸ばせるかも」という人がけっこうな数いるのにも関わらず、彼らが現実的に使えるカメラが、35判以下のセンサーを搭載したデジタルカメラにほぼ限られるのが現状だ。

コストと不便を覚悟で半ば強引に彼らに大きいフォーマットのフィルムカメラを使わせるべきかどうか、悩むところである。もちろん彼らの写真にたいする「覚悟」の大小次第なのだが。

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