旅とライカ(23)
以前、私の場合、一眼レフでは旅の写真が撮れないと書いた。
それはもしかすると、旅写真というものが、私にとっては旅日記のようなものだからではないかと、先日ふと思った。
たいがい私は日記を、誰かにそのまま見せられるような完成形の文体では書かない。なぐり書きだ。後から読み返して、その旅を振り返ったり、自分でも忘れていたようなヒントを思い出したりするのに十分なものであればよい。誤字脱字があったって、かまうことはない。
ところが、はじめから完成形の画像がファインダーを通して見える一眼レフは、文章に喩えるならば、日記ではなく、いきなり正しい文体で、誤字脱字なく旅のエッセーを書かなければならないようなプレッシャーを私に感じさせるのだ。
だからといって、素通しのファインダーのついた使い捨てカメラでいいのかというと、それもまたちがう。
旅日記を書くなら、気分を盛り上げてくれるちょっと気取ったノートブックと、書き味のいいペンが欲しくなるように、旅写真には、気分を少しだけ高揚させてくれるカメラと、好みのフィルムが欲しくなるのだ。
Leica M6
Summilux 35mm
400TX
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