walks

December 04, 2006

鎌倉(4)

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鎌倉に住んでいた時分にわずかに撮っていた写真は、今はどこにあるかよくわからない。覚えているのは、木々、夕暮れの海岸とそこにいた人々、白い壁の建物、雪などの写真である。

当時は写真ではなく、頼まれて絵を描くことが多かった。絵本の挿絵や本の表紙、エッセイとともに雑誌に連載したり、部屋に飾る絵を頼まれたり。

水彩が得意だったので、もっぱら水彩画を依頼された。水彩の一番の魅力でもあり一番の難しさでもあるのが、乾くまで色がわからず、しかもやり直しがきかないという点だ。微妙な滲みは乾いて定着してはじめて全貌がわかるのだが、もうその時点で(油彩のようには)修正できない。一発勝負。失敗したら下絵からやり直し。

仕上がりがわからず、しかもやり直しがきかないという緊張感は、ライカで撮影することに少し似ている。

さて、一眼レフを友人に返した後は、あまり写真を撮ることはなかったが、たまに撮ることはあった。写真好きの友人たちにその写真を見せると、「ねらいすぎ」と言われた。つまり、構図を決めようという意識が強すぎて、写真がおもしろくないというわけである。

そんな意識を解放してくれたのが、ライカだった。

そのへんの話はまたいずれ。

Kamakura5

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Leica M3 + Summar 50mmF2
F6.3 1/500s PKR64
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November 30, 2006

鎌倉(3)

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前々回、写真を自分が撮ることをむしろ否定していたということを書いた。では、私がそれ以降変わったのかというと、実は根本ではあまり変わっていない。

鎌倉に住んでいた時分は、「何を見るかより、何を感じ、何を考えるかが大切」だと思って写真を撮らなかったのであるが、その意識は、写真を撮るようになった今の自分にも、ある。

それは、かつての私にとって写真とは「見たものを撮る」という行為だったのだが、今の私は、見たものを通して「何を感じ、何を考えたかを写真に写し込みたい」と願うようになったからだ。

ただ、写真を撮るようになって大きく変わったのは、意識が自分の外に向くようになったことである。

土地柄も影響したのか、鎌倉に住んでいた当時は(作曲の修行をしていたので)、インスピレーションを自分の内に内にと求めていた。それはいわば求道的要素の強い作業で、時に苦痛を伴った。

写真を撮るようになってからは、自分の中での内と外のバランスがよくなったと思う。芸術家はバランスを取ってはいけないという見方も一方ではあるのだが、内と外の「振り子」の振り幅が大きければ、そんな心配はいらないと思っている。

Kamakura1s

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Leica M3 + Summar 50mmF2
F4.5 1/250s PKR64
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November 27, 2006

鎌倉(2)

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引っ越す前は、鎌倉では神社仏閣を訪ねて歩くことを楽しみにしていたのだが、いざ住んでみると、どこよりも海辺を歩くのが好きになった。海はその姿を刻々と変え、何時行っても違う表情をしていて、決して飽きることがない。

季節では冬が好きだった。人が少なく静かで、空気や水が夏場よりも澄んでいたからだ。

鎌倉には大学を卒業してすぐに住んだ。周りの友人たちが一流企業で職を持ち、少しずつ立派な「社会人」になっていくのを横目に、私はまったく将来を約束されていない芸術家として独り立ちするための、孤独な修行の日々を鎌倉で送っていた。その頃のことを想い出すと、今でも胸が苦しくなる。レッスンに通い、作品を発表しては批判され、挫折感を味わい、また挑戦する日々だった。

ある日、由比ガ浜海岸を歩いていると、打ち寄せる波が私を励ましてくれているように感じた。その時ばかりは、涙が出た。

この砂浜へと続く横断歩道を、本当によく渡ったものだ。

Kamakura3
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Leica M3 + Summar 50mmF2
F6.3 1/500s PKR64
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November 24, 2006

鎌倉(1)

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かつて8年半ほど、神奈川県の鎌倉に住んだことがある。一人暮らしだった。

それまでは、実家とか、学校に通うのにいい場所とか、組織が決めてくれた地域とか、そういう外的要因で住む場所を決めていたのだが、生まれて初めてそこに住みたいと思い、自分の意思で住むことを選択したのが、鎌倉だった。

だがそれはあくまで、尊敬する芸術家がかつてそこに住んでいたとか、古都のイメージに憧れるとかいう、きわめて感覚的かつリサーチなしの理由に基づいた選択であって、湿度がべらぼうに高いとか、休日は車が動かないとか、地形のせいか空気が淀みやすいとかいうデメリットは、およそ脳みその周囲の皮にさえ、かすりもしなかった。

当時の私は(今からはおよそ想像がつかないのだが)、写真というものをほとんど撮らなかった。一時期友人から一眼レフ(興味がなかったから名前さえ覚えていない)を借りて、唯一の趣味だった散歩の合間に撮影をしていた時期もあったのだが、その湿度の高さゆえ、レンズにカビが生え始め、あわててクリーニングに出して友人に返してしまった。

その頃は、「何を見るかより、何を感じ、何を考えるかの方が大切だ」とか豪語して、むしろ自分が写真を撮ることを否定さえしていた。言ってみれば、関心は自分の外側にではなく、内側にあったのだった。

Kamakura4
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Leica M3 + Summar 50mmF2
F6.3 1/500s PKR64
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April 09, 2006

春を写す(その7)

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今年も、千鳥ヶ淵に桜を見にいきました(写真は不忍池)。

大学を卒業した春の4月1日、同じように千鳥ヶ淵に夜桜見物に行ったことを思い出しました。

友人たちが入社式だなんだと言っている中、自分ひとりだけどこにも属さない生活を選んだことが、桜の木の下で急に、押しつぶされそうになるほど不安に思えてきたことを、思い出したのでした。

072_35s

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Leica M3 + Summar 50mm F2
F4.5 1/100s Agfa Optima Prestige 100
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April 05, 2006

春を写す(その6)

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雪国出身の私にとって、春は特別な季節です。特にその匂いが、好きです。

雪解け独特の匂いが、長い冬の間に少しだけ凍り付いた人々の心をも、溶かしてくれるような気がするのです。

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Leica M3 + Summar 50mm F2
F4.5 1/50s Agfa Ultra 100
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April 01, 2006

春を写す(その5)

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今年の春は、私にとって、何年かぶりに気持ちが軽やかになる春でした(花粉が少なかったのもその大きな要因です)。

桜の季節、内心大はしゃぎでライカを持ち出しました。

ブログでは発表しませんが、昨年から温めてきたある作品のアイディアのため、ライカに三脚をつけて撮影するという、世の中のライカユーザーがおよそやらないことを、ここ数日やっていました(下の写真は手持ち撮影ですが)。

春の日差しをやさしく捕らえてくれるレンズは、ズマール50ミリ。

フィルムは、発色とグラデーションの美しさゆえに私のもっとも好きだった(でも生産中止になった)カラーネガ、AGFA Optima Prestige 100。

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Leica M3 + Summar 50mm F2
F4.5 1/50s Agfa Optima Prestige 100
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December 29, 2005

つくり手としてニッチになりきれるか

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前回の記事のように、他人には「もっとニッチに!」と言っていても、いざ自分のこととなると、なかなかニッチに徹することができません(笑)。

写真に関して言えば、たとえば、カラーもモノクロも撮ります、中判も使います、人も風景も、淡い写真も渋い写真も撮ります…ではある意味いかんのではないかと思うのです。それらを撮ろうと思えば撮れるけど、あえて自分の「ニッチとしての」個性は何かを、深く突き詰めなくてはいけないと思っています。

今年は、年頭の公募展から始まり、自分の個性を考え、模索し続けた一年でした。その一つがモノクロームであり、ライカであると思っています。

ある本に書いてありました。はじめから我流はただの下手。基本を突き詰めていって到達したところに個性があると。今のところは、個性というものを先に言葉で考えすぎず、とにかく自分がその瞬間瞬間表現したいものをつくり続けるしかないと思っています。

来年も応援よろしくお願いいたします。

b
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Leica M6 + Summilux-M 35mm F1.4
F2 1/1000 100ACROS
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September 22, 2005

花 02

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私がカラーで撮っていて充実感を得るのは、そのものの本質に迫る質感のある色が撮れたとき。

ビビッドなフィルムは、色が派手に出るだけでなく、シャドーの厚みもよけいに出るように思えて、好きなんです。


033_33s

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@片貝 September 2005
CONTAX Aria + Distagon 35mm F1.4
Agfa Ultra100
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September 18, 2005

花 01

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いつもライカをはじめとするレンジファインダーカメラと呼ばれるカメラを使っていると、たまに一眼レフを使ったとき、視神経がやけに刺激されます。

すると、Agfa Ultra100ようなビビッドなフィルムを詰めて、カラフルな写真が撮りたくなります。

でも、こんなふうに花を撮ると、某演出家の娘の有名写真家さんの真似のような写真になってしまいがちで、ちょっと自己嫌悪になるときもあります。

031_31s

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@片貝 September 2005
CONTAX Aria + Distagon 35mm F1.4
Agfa Ultra100
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June 21, 2005

魔性のビオゴン

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今回の写真に使われているビオゴン35mmF2.8という戦前のレンズも、後方の光がこんなにもにじんで、おそらく仕事に使うにはおっかなびっくりな「作品レンズ」。

でも、このにじみこそが、私がこのレンズを好きな理由の一つなのです。
このにじみ、やばいなぁ、くせになります。

いつかこのレンズを持って、古代遺跡(アンコールワットとか)に行きたいんです。

ちなみにこのビオゴン、いつもお世話になっているSさんの所有物ですが、まさにこの玉そのものが「ライカ通信」8号に写真入りで紹介されています。

hitotsubashi_biogon

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Leica M6 + Biogon 35mm F2.8
F2.8 1/50 TMX(+1)
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June 17, 2005

幽玄な描写

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私の中には、「仕事レンズ」と「作品レンズ」という棲み分けがあります。

前者は、とにかくよく写るレンズ。
後者は、「味」のあるレンズです。

私にとってのその「味」とは、あぶなっかしいレンズの個性です。
今回はその「作品レンズ」のひとつ、レアもののアポクロマート・キノプティク(またもやSさんの所有物)。

何気ないスナップも、古きよき欧州の薫りで満たしてくれそうなレンズです。

写真は都内某大学の校舎。英国かどこかの空気が漂っているかのように見えます。

hitotsubashi_apochromat

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Leica M6 + Apochromat KINOPTIK 50mm F2
F2 1/125 TMX(+1)
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May 24, 2005

海辺にて

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鎌倉の由比ガ浜海岸にて。

画面が全体にぼんやりしているのは、このレンズがやさしいからだけではなくて、スキャナが曇っていたからです。

でも、それゆえにかえって、「記憶」に近づいた気がします。

yuji01_2
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Leica M6 + Summilux-M 35mm F1.4
F5.6 1/250s TMX
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May 08, 2005

春を写す(その4)

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とおり雨。

リクルートスーツの大学生が、足早に、濡れたホームに降りていった。

04120024s

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Leica M6 + Summicron-M 50mm F2
F4 1/250s Agfa Optima Prestige400
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May 05, 2005

春を写す(その3)

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高田馬場から地下鉄東西線に乗り、中野へと向かう。

中野駅に近づくにつれ、地下を走っている電車の窓に、すこしずつ外の光が差し込む。

電車が完全に地上に出ても、窓に入る春の光は、どこか柔らかい。

04120015s

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Leica M6 + Summicron-M 50mm F2
F2.8 1/125s Agfa Optima Prestige400
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May 02, 2005

春を写す(その2)

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春は春でも、今日はHARUの写真。

私の友人が高田馬場でやっているカフェHARUに先日行って来ました。

「fast-slow food」というのがコンセプト。手軽にスローフードを楽しもうというところでしょうか。

で、激うまいのが、ドライカレー。自称「東京で一番うまいドライカレー」。賛成。皆さんもぜひ一度食べてみてください。

この日はお店のロゴやキャラクターなどをデザインした原あいみさんの個展をやってました。キュートでポップな店内に変わっていて、お店の好感度上昇。個人的には某Kさんの絵よりも、原さんのポスターをそのまま飾っていてほしいのでありました。

04120007s
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Leica M6 + Summicron-M 50mm F2
F4 1/30s Agfa Optima Prestige400
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04120011s
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Leica M6 + Summicron-M 50mm F2
F2.8 1/125s Agfa Optima Prestige400
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