原風景(3)「冬の星」
*****
>>安達ロベルト・オフィシャルサイト
>> リコー 'CaplioLife'にオンラインギャラリー掲載中
>>いま何位?「人気blogランキング」
*****
前回書いた「ひとり」の期間の後、再び両親、姉妹とともに暮らすことになった。
そのころ、祖父が私に天体望遠鏡をプレゼントしてくれた。今思えば倍率もそれほど高くない、シンプルな反射望遠鏡であったが、異次元を垣間見ることのできる贈り物に喜んだ。
祖父の期待通り、私は天体に興味を持った。星の図鑑を毎日飽きずに眺めた。とりわけ冬の星が好きだった。オリオン座、おうし座、ベテルギウス、シリウス、リゲル、馬頭星雲、M42大星雲、プレアデス星団、アルデバラン、、、。
写真の中の神秘的な光と陰に吸い込まれ、未知の世界へと想像を馳せた。
冬の晴れた夜、母を無理やり外に連れ出し、雪国では珍しく澄み切った空の一点を差し、あの星が見たいと言った。オリオン座のベテルギウスであった。図鑑に、銀河系で最も大きいとあったあこがれの星だ。
雪の上に置いた天体望遠鏡を、まずは母が覗いてその星を探してくれた。しばらくして、母が見えたというので、私もせっかちに見たい見たいと言った。
だが、身長が足りず、ファインダーが上についた反射望遠鏡を覗くことができない。母に抱きかかえられ、必死に見ようとしたが、結局だめだった。
ひどく落ち込んだが、イマジネーションの中では、巨大な星ベテルギウスが、暗闇の遥か彼方にぼんやりと、しかし悠然と赤く光る姿が見えていた。
その想像上の姿は、今でも私の中に記憶として残っている。仮に望遠鏡で実物を見ていたら、美しい映像の記憶としては残らなかったであろう。

************
Leica M6 + Summar 5cm F2
F2 1/8s TMX
Robert Adachi all rights reserved
************






Recent Comments