coffee

May 13, 2008

一杯のコーヒーから(5)

ときどき、コーヒーが苦手だという人に会う。その理由をよくよくきくと、どうも「胸焼けするから」というのが多いことが分かる。

胸焼けは、コーヒーそのものではなく、「鮮度」に原因があることが多い。

鮮度には、豆そのものの鮮度と、いれた後の液体の鮮度と、大きく分けて二つある。

豆の鮮度は、抽出時にフィルターにお湯を注いだとき、豆の粉が沈没するよるならもうそれは古い豆だと思っていいだろう。状態にもよるが、焙煎から1ヶ月、開封してから1週間から10日くらいが目安。コーヒー豆も生鮮食品だと思って、少量を頻繁に買うのがベスト。

もう一方の液体としてのコーヒーの鮮度は、これを過小評価している人は案外多い。コーヒーメーカーで落とした後、どれくらい保温したままで置いておいていいかというと、最長1時間だと思っていいだろう。それ以上保温されたコーヒーは、煮詰まってしまっていて、胸焼けの原因になる。

ちなみに、マクドナルドは抽出してから30分、スターバックスは1時間で破棄している。

面倒くさい、もったいないからといって、職場のコーヒーメーカーの煮詰まったコーヒー飲んでませんか?

ホテルの朝食バイキングのコーヒーも、煮詰まっていることがあるので要注意。

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May 10, 2008

一杯のコーヒーから(4)

好きな豆は何かと訊かれることがあるが、けっこう回答にこまる。なぜなら、答えが「条件つき」になるからだ。つまり、好きな豆はあることはあるが、ある条件を満たしていなければ好きだとは言い切れない、ということだ。

その条件とは何かというと、鮮度などももちろんあるのだが、大きなものとしては「焙煎」がある。
単に深煎りか浅煎りかということだけでなく、焙煎のよしあしも私にとっては大切な条件だ。

ここまで読まれると、なんて面倒くさい奴なんだと思われるかもしれないが、たとえば米なら、多くの日本人が、産地で選んだり、炊飯器の性能や炊け方を氣にしたりするだろう。それと同じこと。私にとってコーヒーは、米と同じくらい日常的なものなのだ。

で、自分好みの焙煎という条件を満たしたとして、好きなのは、「グアテマラ」と「モカ」系全般。

グアテマラは、キレがあって、ほんのり甘くて、後に引かない感じが好きだ。かつて友人の友人からいただいた、腕利きロースターに焙煎してもらったグアテマラ・ピーベリーを飲んだ時の感動は忘れられない。

モカは、日本でモカと言うと、古い世代の人々の間ではさっぱりしたコーヒーの代名詞のようになっているようだが、一口にモカといってもいろいろある。焙煎によっても印象ががらりと変わる。個人的にはハラーやサナニあたりの、深煎りにしたときの赤ワインを思わせる芳醇な風味が好きだ。

余談ながら、シアトル系のカフェに初めて行った人が、「カフェモカ」をストレートコーヒーの「モカ」だと思って注文したら、まったく別な甘い飲み物が出てきて困ったという話はよくある。

(つづく)

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May 06, 2008

一杯のコーヒーから(3)

コーヒーを飲んでいつも面白いと思うのが、同じコーヒーでも、抽出する人によって味が違うということ。

私のよく行くカフェでは、オーナーである世界バリスタ選手権1位のオーストラリア人バリスタを先頭に、同じブレンドから一人ひとりまったく違う味のエスプレッソを抽出してくれ、飲み手を楽しませてくれる。

同じカメラやレンズ、フィルム、印画紙を使っていても、一人ひとり写真のトーンが違うのと一緒。不思議だが、だからこそ面白い。ちょっと大げさに言えば、言葉ではウソがつけても、コーヒーではウソはつけない。

自分でコーヒーをいれはじめたのは、10年くらい前だろうか。友人たちと旅行に行ったとき、たまたま宿にあったものでつくったら「アダチのいれるコーヒーは美味い」とおだてられてその氣になった(笑)。その後エスプレッソは8年、ネルドリップは4、5年くらいやっている。

先日の写真展では、時間があるときは、その人に故郷や仕事の話を聴いて、それをイメージしながらネルでコーヒーをいれた。そのようにいれたコーヒーはたいがい、そのことを伏せていても、不思議と本人に絶賛された。いわば特定の飲み手にチューニングされたコーヒー。そういう芸当ができるようになったのは、ごく最近のこと。

飲み始めて十数年。いつの間にか、もう引き返せないところまで来てしまったようだ。

(つづく)

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May 03, 2008

一杯のコーヒーから(2)

コーヒー抽出法の双璧は、ネルドリップとエスプレッソだと思う。

ネルドリップというのは、布フィルターで落とすドリップコーヒーのこと。紙フィルターと原理は似ているが、味は随分違う。紙フィルターより、味がまろやかで、液体もとろっとした印象になる。

ネルは扱いが面倒と言って敬遠する人も多いが、そんなことはないと思う。コーヒーメーカーに比べれば確かに手間はかかるが、同じ豆から落としたとは思えないほど違う味になる。

一方、エスプレッソは、細かく挽いた豆に高圧力をかけて抽出するコーヒーのこと。イタリア語で「エクスプレス」を意味するように、ドリップコーヒーに比べて抽出時間が短い。スターバックスの登場により、日本でも近年かなり一般的になった。

どちらのほうが好きかと問われれば、両者は同じコーヒーだが別物で、どちらも同じくらい好きだと答えるだろう。ただし、素人にいれてもらうなら、エスプレッソのほうがはずれが少ないのでそちらを選ぶだろう。

ネルドリップとエスプレッソ、どちらもおいしく抽出できるようになるのには、それなりの訓練が必要だ。好きが高じて自分でもいれるようになったのだが、少なくとも私の場合はかなりの時間がかかった。ネルドリップにいたっては、満足のいく味を出せるようになるまで、2年は要しただろうか。

その甲斐あってか、今では周囲から「カフェでもやったら」とお世辞を言われるくらいにまではなった。さすがにカウンターに立つつもりはないが、オーナーはいつかやってみたいなぁ。

(つづく)

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April 30, 2008

一杯のコーヒーから(1)

私は自他ともに認める大のコーヒー好きだ。どれくらい好きかというと、うちのネコのエミリオの次くらいに好きだ(かえってわかりづらいか)。

コーヒーをほとんど飲まない家で生まれ育ったので、コーヒーに目覚めたのは案外遅く、22、3の頃。ちょうどアートを志したのと時期的に重なる。

「目覚めた」と言ったのにも意味があって、コーヒーを飲み始めたきっかけが、実は眠気覚ましのためだったのだ。

大学生の時分はやたら忙しく、眠い日が多かったので、どうしたら日中しゃきっとできるか、その方法を探していた。いろんなお茶、アルコール(!)などを試したが、あるとき、コーヒーを飲んだら急に頭が冴えて、気持ちが大きくなったことがあった。

そのとき飲んだのは、学食のおばさんがいれてくれたコーヒーだったから、今振り返ればそれほどハイクオリティのものだったとは思えないのだが、コーヒーの「免疫」のない私には、けっこう効果があったようだ。それ以来、目の覚めるコーヒーを求め続けるようになってしまった。

もともと胃腸が強いほうではないので、飲み過ぎたり、質の悪いコーヒーを飲むと、かえって疲れる、眠くなることがあるということも分かった。そういう背景もあって、良くも悪くも、どんどん良質のコーヒーを求めるようになっていった。またある時点から、覚醒効果だけでなく、味のよしあしも求めるようになった。

幸か不幸かそれはそれはカメラのレンズ沼のようなもので、求めれば求めるほど魅力的なコーヒーが出てきたのである。

(つづく)

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